クジラ!くじら!鯨!!「探究ワークショップレポート」 vol.3
千葉県南房総市にある「探究塾 boccs」は、子ども一人ひとりの好きなこと・やりたいことを実現するための学びを提供するアウトプット型の学習塾です。今回は夏休みイベントとして開催された、SDGsをテーマにした特別授業“夏休み自由研究!「くじら」探究ワークショップ”に、大人代表として南房総市在住ライターのササキが体験取材をしてきました!(vol.3)
サステナビリティコンサルタントの東千恵子さんのお話を終え、みんな「クジラってすごーい!」と目をキラキラさせているのもつかのま……。今度はグッと身近な南房総エリアの捕鯨の歴史について、探究塾boccsファシリテーターの相川千晶さんからお話がありました。
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安房はクジラの通り道
「クジラは生きているだけで役に立ってくれている」とわかった数分後に捕鯨のお話とは、これまたリアルなワークショップだなと感心したササキです。そうです、日本にはクジラを捕まえて食べる文化が昔からあります。しかも私たちが住む房総半島の南部、安房地域と呼ばれている南房総エリアはクジラの通り道で、日本に4か所しかない捕鯨基地の一つでもあるのです。
その歴史は江戸時代にまでさかのぼります。boccsがある南房総市の岩井エリアのお隣、鋸南町勝山という地域の周辺でクジラ漁は始まりました。当初は偶然に迷い込んできたクジラを捕っていただけでしたが、生活のために漁として確立していったのです。
勝山に残されるクジラ文化
もちろんとても大きなクジラですから、何十もの船が力を合わせて漁をします。町を挙げての大仕事だったのでしょう。その仕事ぶりが認められ、地域のお殿様から醍醐新兵衛定明(だいごしんべえさだあき)という人物が「捕鯨元締」に任命されます。
これによって捕鯨はさらに組織的なものとなり、地元の経済を潤していったのです。ちなみに醍醐新兵衛いうのは世襲制で、代々に渡り同じ名前の人が元締めとして活躍しました。
残念ながら明治期を境に勝山でクジラは見られなくなり、現在は外房エリアの和田町で捕鯨が引き継がれています。といっても勝山では現在も、「島渡し」と呼ばれるクジラのお祭りが毎年7月に開催されたり、クジラの骨を埋葬した鯨塚があったりと、クジラ文化が根強く残されているのです。
クジラを食べる
安房におけるクジラのお話はまだまだたくさんあります。もちろんクジラを食べる機会も他より多くあり、解体されたばかりのクジラを安く買えたり、スーパーなどに並んでいるものを見たりすることもあります。
また正直に言って、ササキとしては「クジラは美味しい」と断言できますし、クジラのおかげで人間が生きてこられた歴史もあるのです。乱獲は絶対にいけませんが、クジラを食べてきた文化についても学ぶことが多いのです。
大人代表ライター・ササキの取材後記
クジラと気候変動のお話から安房のクジラ文化まで、「クジラ」という切り口ひとつでここまで深堀りできるのかと、驚きの展開になったワークショップでした。子ども向けとはいえ、大人のササキも脳がチリチリとフル回転する楽しさを実感!また、よくわからない人も多いだろうSDGsのことも、こんなふうに身近なモチーフを通すといろいろなことが見えてきますね。まさに「探究塾boccsの奥深さ見たり!!」な体験取材になりました。
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